
弊社で製作している「制御盤」とは何なのか?についてご紹介します。
普段、制御盤は「ロッカーのような鉄の箱」という姿でしか見かけません。それに加えて、制御盤の厳密な定義はなく、制御盤というワードは広い意味で「何かを操作する装置や、コンピュータのようなもの全般」という意味合いでも使われますので、全く知らない方にはなかなかイメージして頂くのが難しいです。
想定している読者の方:
- 違う業界から弊社Webにお越しくださった方
- 電気関係や制御機器などの仕事の依頼先を探しているが、当社が依頼先として合っているのか?を知りたいお客様
※ 厳密に論じるとおかしい部分もあるかもしれませんが、上記の想定であることをご理解ください。
Q. 制御盤とは
A1. 機械を「運転・制御・保護」する、機械装置一式の中の、電気を担当する部分です。
制御盤とは、ポンプやモーター、ヒーターといった電動機・ヒータ類の運転・制御や操作・異常時の保護を行う、電気部品を納めた箱、もしくはその部品を取り付けた板のことをいいます。
制御盤の役割をイメージして頂くため、具体例をあげて説明したいと思います。
例1:エレベーター

エレベーターという機械装置一式の中で、私たちが目にするのは人がのるハコの部分です(このハコの部分は”かご”と呼ばれます)。
上下の階へ行き来するには、モーターが使われています。井戸のバケツのように、ワイヤーを張ってカゴを吊り上げたり、吊り下げたりしています。
モーターは勝手に動くわけではなく、人間が呼び出しボタンを押したり、かごの中で階数ボタンを押すという操作を受けて、予め決められたとおりに回転に、かごを吊り上げたり、吊り下げたりします。
この、「人間の操作(入力)」と、「モーターの操作(出力)」の間をつなぐ・翻訳するのが、制御盤の役割です。
※ 誰でもなじみのあるエレベーターを例に挙げましたが、弊社でエレベーター利用者からの制御盤の修理・改造のご依頼は承っておりません。エレベーターは使い方や動作を間違うと人命に関わる重要な装置ですので、エレベーターメーカーが制御盤も含めて設計・管理しております。
例2:温泉
次に、温泉を考えてみましょう。

地下の源泉からお湯を吸い上げるのに、ポンプという機械が必要です。そして、源泉がぬるければ、お湯をあたためるボイラーという機械も必要になります。これらの機械に必要な時に電源や信号を送って制御するのが、制御盤の役割です。
例えばポンプについてみてみると、24時間ずっと吸い上げるのではなく、「タンクがいっぱいになるまでの間だけ動いてほしい」など、ポンプを動かすための条件があります。タンクに水位を測るセンサを設置することで、センサから「もう満水だよ!」と信号を受け取ったら、ポンプを停止する必要があります。
このように、「タンクのセンサ」と「ポンプ」の間をつなぐ・翻訳するのも、制御盤の役割です。
例3:パソコン
パソコンと弊社の製造する制御盤は異なりますが、パソコンで例えると、パソコン本体(タワー)の部分が制御盤にあたります。

最近はデスクトップPCが減ってきましたし、画面一体型や超小型PCもありますが、上の図のようなパソコンをイメージしてください。
人間がパソコンを触るときは、マウスやキーボードで入力を行い、スピーカーやディスプレイから出力されたものを見聞きします。パソコン本体は何をしているかというと、「入力された内容をコンピュータで処理して、適切な出力を行う」という仕事をしています。
制御盤も、そのパソコン本体と同じで、「電源を入れたり、ボタンを押したりすることで、モーターを動かしたり、ランプを点灯させたり」しています。エレベーターやロボットなど、実際に動きのある機械側に目がいきがちですが、それを制御しているのが、制御盤なんです。
Q. どこにある?
A. ポンプ・モーターなど機械のそばにあります

主に、家庭では使わないような大きな機械のそばにいます。
- 工場
- 用水路の、水門のそば
- テーマパークのアトラクション
- ビルなど大型施設の空調設備
Q. どんな分野で使われている?
A. 機械を使うどんな分野でも使われています
「機械あるところに、制御盤あり」といっても過言ではありませんので、業界問わず制御盤は使われています。特定の業界に向けた宣伝・PRをしていないので、これがお客様から見て制御盤屋が分かりにくいと言われる理由の一つでもあるのだと思います。
- 食品・薬品など様々な製品の製造ライン
- 水処理
- 工場のFA(ファクトリーオートメーション:工場の自動化)設備
- プラント設備
- 大規模施設の空調や照明の一括管理 etc…
Q. 何をしている?
A. 機械を動かすための、電気の分配・供給と制御・異常時の保護を行っています。

電気の分配・供給を行う部分を「動力部」制御を行う部分を「制御部」と読んだりします。
呼び方は規模や用途によってさまざまです。規模の大きいものは「動力盤」「制御盤」「操作盤」と分けることもありますし、全てまとめて「制御盤」とすることもありますが、どれも制御盤屋で対応できるものです。
制御は、シーケンス制御という方法が用いられます。プログラミングをご存じの方でもあまり馴染みがないと思います。
分電盤とはちょっと違います

分電盤は、建物の中で一定のエリアに電気を分けて配る盤です。主にブレーカだけで構成されています。
制御盤でもブレーカを使いますので、似たようなものなのですが
分電盤は「建物に付帯する電気設備」、制御盤は「機械装置の一部」となり、専門で扱う業者も異なります。
弊社も、分電盤の製作などは可能ですが、主要分野ではありません。
制御盤では低圧電力の範囲を取り扱います
12V~400Vが主な電圧の範囲です
制御盤では、多くの場合100V~200V(400V)の電源をもとに、必要に応じて制御部分を100V~24V(より低い場合はまれに12V)に変換しながら、各部品へ配線を行います。信号線の部分は4-20mAと1-5Vの場合もあります。
AC600V、DC750V以上になると高圧の範囲となります。この低圧/高圧の区別は電気設備技術基準で明確に決められており、取り扱いの作法や必要な資格が変わってきますので、制御盤屋では一般的に取り扱いません。(中には高圧分電盤も取り扱える電気屋さん・制御盤屋さんもあります)
制御盤は、主に「強電」を取り扱います
(強電/弱電という言葉には、高圧/低圧のような明確な定義がなく、業界によって解釈が異なりますが)48Vを境とした解釈で説明すると、
強電はエネルギーのために使う電気、弱電は信号のために使う電気です。
「エネルギー」とは、電源として機械や大きなモータを動かすために使い、「信号」とは、それ自身で何かを動かすためではなく、情報のやりとりだけを目的とする、大きなパワーを必要としない電気をイメージしてください。
電子回路となると、弊社の得意分野とは少し異なります
よく、プリント基板などの電子回路の組み立て・組付けなどのご相談を頂きますが、少々分野が異なるため、お断りする場合が多いです(ここは、会社によって対応できる範囲が異なりますので、一概に制御盤屋が無理ということはありません)。
なぜかといいますと、電子回路の定義となるとこれまた難しいのですが、一般的には電子回路とは3Vや5Vの「弱電」の世界となり、12V~400Vを扱う制御盤とは配線で取り扱う電圧のレンジが異なるからです。
電圧のレンジが異なると、同じ電気であっても、分野や・必要とする知識が異なります。必要な部品も異なりますので、制御盤屋が持っている部品の調達ルートとも異なり、必要な部品が手に入らないこともあります。
どんな部品でてきている?
電線を納める配線ダクトや、ブレーカー、サーキットプロテクタ、マグネットスイッチ(電磁接触器や電磁開閉器)、リレー、スイッチング電源、トランスなどで出来ています。制御盤内の温度を調節し熱で故障をするのを防ぐため、ファンやクーラーを取り付ける場合もあります。
また、モーターを動かすのであればインバータやサーボアンプ、温度を管理するのであれば温調器、ソフトウェアでシーケンス制御を行うのであればPLC(プログラマブルコントローラ)など、機械側に応じた部品を使用します。
「〇〇があるから(orないから)制御盤ではない」といったことはありません。
また、かならず箱(鉄製のキャビネット)に入ってる訳ではなく、部品を取り付けた中板だけを機械の内部に据え付けることもあります。また、配線ダクトを使用しないこともあります(省スペースにはなりますが、メンテナンス性を考えると、推奨しておりません)
お気軽にご相談ください
制御盤を、いくつかの切り口で説明いたしました。少しでも制御盤のイメージが伝われば幸いです。
冒頭にもお話しましたように、制御盤に厳密な定義はなく、部品や取り付け方法・見た目も様々です。
制御盤屋で対応しているのは、「400V~100V主電源として、ブレーカーやリレー、PLC・専用のコンピュータ等を、圧着端子を使って配線を行う電気部品・制御部品を組付けた箱ないし板」というイメージをして下されば、おおむね間違いはありません。
お客様の依頼したい内容と合致するか分からない場合は、お気軽にお問い合わせください。
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